Harmony入会のきっかけ編(家族との別れ11)


前回からの続き

直ぐに彼女の両親が目に入ったので、わずかなロシア語の知識で「プリビエイト!!」日本語で「こんにちは」その次に自分の名前、これで挨拶をしたい意思は通じただろう。
あちらも笑顔で首を縦に振り、言葉は発しなかったが、こちらの意思は理解したようだ。
あちらは食事中で私もロシア語は話せないので、妻のご両親とはここまで。

そして、次の部屋のドアを開ける。
すると、まず下の子が出てきた、彼女は私を「パパ~」と呼ぶ、思わず抱きしめる。
はやり大きくなっている、一歳半で離れて以来だから想像はしていたが、この時期の子供は成長がとても速い、しかし、間違いなく私の子供である、あの時いつもよちよち歩きでニコニコと笑い、歩行器に乗っている時はわざと泣いて私を呼び、抱っこしてもらおうとする。
私が帰宅すると「キャー」と悲鳴のような声を笑顔で発し、喜びを表現する。
いつも私に幸福を与えてくれた、かわいいかわいいあの子とやっと会えた。

この可愛さは私がずうと感じ続ける筈だったのに、今まで一年も感じる事ができなかった。
この空白の時間が悔やまれる。

そして誰かに教えてもらったのであろう、おそらく「今日パパが来る」と、日本に居る時はまだ、自分のパパが私であることを理解していたかどうかも分からない年齢だったから。

それと、もう一人白人の女の子、六歳ぐらいの子で金髪に青い瞳、典型的な白人の女の子という感じの子だ、この子は妻の妹の子供、写真は見ていたので直ぐに分かった。
この子は私の事を「○○○」と名前で呼ぶ、やはり、ヨーロッパの子は初めて会う人にも人見知りもせず大らかなものだ、そして、しぐさでの表現力が日本の子供とは違って、とても豊かである。
この二人は予想通りに、性格的に外交的な子供たちだ。

下の子に「パパ~」と呼んでもらえるのは嬉しいが「パパ」とは、私が自分の父親だと理解しているのか、それとも、「パパ」とは、私の名前だと思っているのか、それを聞きたくても、説明したくても、言葉が通じない、こんな体験をする人はほとんどいないであろう。
久しぶりに会えた自分の娘と言葉が通じないなんて。

次回へ続く。

photo by: Photos by Lina

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